「健全な子ども」は里親宅ではトラブルメーカーになる

gladiolus2009 による 7. グラジオラスの場合 への投稿 (7. グラジオラスの場合)
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私が小6の時、ユカちゃん(仮名)という里子がS宅にやって来たの。
ユカちゃんの身なりや髪型、持ち物から、S宅にくるまでは
家庭の中で大事に育てられてきた子だとすぐにわかったわ。
彼女は私と同い年だったけど髪が長く手足がスラリと伸びてオトナっぽく見えたけど、
一緒に暮らしはじめると、オトナっぽいのはルックスだけと気づいたの。
私の目にユカちゃんはドンくさくて甘ったれてて空気が読めない子、
どうしようもないおバカちゃんに映ってならなかったわ。

ずいぶんあとになって、彼女がとくにドンくさい子だったワケではなく、
彼女は当時11~12歳という年頃の少女らしい健全な感覚を持ち合わせた子で、
私のほうが年齢にふさわしいイノセンスを失ってたことに気付いたの。

それまでずっと邪魔な荷物のように里親宅をたらいまわしにされ、
常にオトナの顔色をうかがい、彼らの手を煩わせてはならない、
他人に迷惑をかけてはならないと自らを律して生きてきた私と、
11歳になるまで家庭の中で親に育てられたユカちゃんでは、
学年は同じでも、そのセンスは天と地ほどの開きがあり、
すでに越えられない壁ができあがっていたのね。

同じ里親の家にいる里子どうしは姉妹のような関係で
おたがいに助け合って暮らしてると思ったら大まちがいよ。
当時4人の里子が一室に詰め込まれて共同生活をしてたワケだけど、
「自分のことは自分でする」「他人に迷惑をかけない」「他人のことに詮索しない」
というルールがあり、そのルールを「当たり前のモノ」とみなして生きてたわ。
それぞれ背景もルーツも異なる他人、別々のカルチャーを内面化した他人どうしが
狭苦しい密室の中で寝食を共にするのだから、
トラブルを避けるためには「無関心」と「不干渉」の掟が必要だったの。

「無関心」と「不干渉」の掟は、ともすると「礼儀正しさ」のようにも見えるけど、
つきつめると「私はアナタを煩わせない、だからアナタも私を煩わせないで」
「他人のことにカマけてられない」という里子たちの「余裕のなさ」に行きつくの。
家庭で育てられてる子どもなら、日常生活において「無意識に」やりすごせる部分で
里子たちは神経を張り詰めてエネルギーを使い果たし、いつも極限状態なの。

あなたが勤める会社の社長の自宅に招かれたとしたら?
その場面を想像してみてほしいの。
社長に悪意はなくても、好意による饗応だとしても、ひどく緊張するわよね。
自分の「うち」にいるときのように寝転がって鼻をほじったりできないわよね。
贅沢な食事をふるまわれたとしても、高価なシャンパンをくみかわしたとしても、
その状態が毎日つづいたら、ひどく気疲れして消耗するわよね。

それでも、自立してるオトナなら「帰る家」があるからイイのよ。
「帰る家」があるからこそ、非日常的な「適度な緊張」を楽しめる余裕があるの。
社長宅での接待から解放されて自宅に帰れば、ホッとして緊張をとける。
自分の家では誰にも気兼ねなく、安心してくつろげる。
でも里子たちには、その「ホッとする瞬間」や「くつろげる場所」がないの。
安心してくつろげる場所を持たずに、延々と緊張状態を強いられつづけるの。
里子として里親の家で暮らすというのは、そういうことなの。

(次回につづく)

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コメント
  1. miyuki より:

    gladiolusさんこんにちは。

    とても想像しやすい比喩、ありがとうございます。
    確かに、どんなに好きな人でも気を使わなくてはならない相手と
    長時間過ごす、というのは本当に辛いですし疲れます。

    主人の実家に行く時、1泊までは耐えられるのですが2泊すると思考が停止しました。
    主人のお母さんは優しいのですが、気を使うことはストレスなんだな、と痛感いたしました。
    大人になっても、たったこれだけのことで思考停止するんですよね。

    子供でそれが毎日。。。 仮に、虐待がなかったとしても毎日相当のストレスですよね。

    初めてカキコさせていただいたときは、”里母になりたい!!”なんて息巻いておりましたが
    最近は、里親が増えることより減ることで、虐待が減るのであれば、、、と里親という形に拘るのは辞めようと思います。

    gladiolusさんのおかげです! このサイトを作ってくださって、本当にありがとうございます。

    【gladiolusさんへ⇒ ブログ名・内容が凄いので 以下文はgladiolusさんの判断で削除していただいて大丈夫です。】
    余談ですが、里親とは関係のないところではありますが、児相の対応が酷いのが記載してありますのでご参考までに。
    (新宿のこころちゃん、がニュースになっていたので ググッたら出て来たブログです。サイト名かなり怖いですが、児相の呆れた対応が載っています。)
    結構長い記事ですが、是非ご覧下さい。
    http://shinshun.blog47.fc2.com/blog-entry-167.html

  2. みき より:

      gladiorus2009さんへ
     記事を読ませていただきました。
    「里親家庭」で暮らす里子の置かれた環境と。その当時の里子たちの心境が
    映画を観るように、はっきりとわかりました。
    想像もつかない別世界のようです。
     両親による児童虐待への撲滅には、国は力を注いでいますね。でも、
    里親家庭での里子への虐待--体罰であれ、精神的虐待であれ--は
    まだまだ世間の人たちも、その実態を知らないのが現実と思います。
     非常に大きな課題を、貴ブログは示唆してくれています。

  3. gladiolus2009 より:

    >miyukiさんへ
    おっしゃるとおり、たとえ自分に好意をもってくれてる相手でも
    「気を遣わねばならない人」と一緒にいるのは消耗しますよね。
    まして、自分に悪意を持ち、イジメる気マンマンな人の家で
    暮さねばならないとしたら・・・まさに針のムシロですわ。
    私は「里親になりたい」という方を否定する気は、これっぽっちもありません。
    でも、親と暮らせない子どものためになにかしたい、と思うなら、
    どうすればその子たちが親もとにいられるか?を考えてほしいというのが本音です。

    ご紹介いただいた「歌舞伎町のこころちゃん」のブログ、
    いろいろ考えさせられることが多く、ちょっと考えがまとまりません。
    でも多くの方に知っていただき、考えていただきたいケースです。
    ありがとうございました。

    >みきさんへ
    ようこそいらっしゃいました。
    親による児童虐待は社会的に認知されてきておりますが、
    里親による里子虐待は、まだまだ認知されてないどころか、
    さまざまな立場の人々による「隠そう」とする力が働いています。
    里親団体は里子の利益よりも里親の「社会的評価」のほうが大事で、
    里親に虐待された里子たちが、その経験をブログで公にするのが許せないみたいですし、
    その里親を認定、指導・監督する立場の児童相談所の役人は
    自分たちのミスを認めたくない・仕事を増やしたくないばかりに
    里親による里子虐待を「黙認」してるとしか思えないフシがあるし、
    児童相談所がそんなだから里親による里子虐待が横行するし。
    里親制度は誰のための制度なのかホントわからなくなりますわ。

  4. miyuki より:

    gladiolusさん

    > ご紹介いただいた「歌舞伎町のこころちゃん」のブログ、
    > いろいろ考えさせられることが多く、ちょっと考えがまとまりません。
    > でも多くの方に知っていただき、考えていただきたいケースです。

    そう言って頂いてありがとうございます。
    私も、同じ記事をここ数日、繰り返し繰り返し読んで 考え込んでしまっています。
    (このサイトもそうですが)
    この記事を発見して、gladiolusさんにお知らせするべきか随分と悩みました。
    このサイトの主旨は“里親からの虐待があるという事実の提示と、虐待を無くす為”
    と認識しておりましたので、このサイトの主旨に合わないのにお知らせしてもいいものかと。。。
    (児相のくだりをこぎつけて、書き込みました)

    こころちゃんの、その後の記事があります。
    その記事で、実親と子供が一緒に居られる方法を考えてほしい、というgladiolusさんのお考えが
    痛いほどわかりました。
    http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20091001dde012040002000c.html
    本当に、どうすれば子供は実親と一緒に居られるのでしょうね・・・?

  5. gladiolus2009 より:

    miyukiさん、こんばんは。
    「こころ」ちゃんのお父さんは──こう言っては失礼だけど──私から見ても相当なロクデナシだけど、
    「こころ」ちゃんはお父さんが大好きで、一緒にいたい──
    ──その気持ちを大事にしてあげてほしいと思います。
    彼女がいつかオトナになって「お父さんはロクデナシ」と気づいた時、
    お父さんとの関係をどうするかは、彼女自身が決めればいいこと。
    他人に依存せず自分の力で生きていける力を持ったオトナがダメ親を見限ることと、
    どんなダメな親でも親が大好きな子どもをダメ親と引き離すのは、まったく別問題だと思うの。
    そして、子どもを守る力のないダメ親でも、子どもを愛する気持ちにウソはないと思うの。

    いちばん問題になるのはコストだけど、
    里子を1人預かると里親に年間およそ200万円以上の手当てが支給されるし、
    施設に措置されると、さらに多くの予算が投下されてる現実があるの。
    親に収入があれば、親が利用料を負担しているらしいけどね。
    税金と親が支払ってる利用料を合計して、それだけの予算があれば、
    たとえば親子が一緒に暮らしながら自立を目指す機関を作るとか、
    しぃさんが主張するようにヘルパーさんを各家庭に派遣するとか、
    本腰を入れて取り組めば、なんとかなりそうな気もするんだけどね。
    里親が名誉欲を満たす道具として里子を預かってるのではない、
    本気で「子どものためになにかをしたい」と思ってやってると言い張るなら、
    彼らがヘルパーとして児童の家庭に行って家事や育児をすればいいのよ。
    そのほうがよっぽど「子どものため」になるし、しあわせになれるわ。
    里親になるにはウン年以上の育児ヘルパー経験が必要とか条件をつけるとかね。

  6. miyuki より:

    gladiolusさん、こんばんは。

    “たとえば親子が一緒に暮らしながら自立を目指す機関”があれば本当にいいですね!
    それが一番、私の中でも理解しやすいです。

    ヘルパーを派遣する、となるとヘルパーは有償?ボランティア?
    有償だとしても他人のおうちに行って家事・育児をするのであれば
    おうちに行くのであるから距離感を間違えてしまいそうで
    ヘルパーははずが、誤って友人としての助言等をはじめてしまい
    そうすると“大人同士の衝突”が増えるのでは?
    それに、おうちの無い人はどこに派遣するの?
    と、まあ(悪い意味で)大人な考えがボンボンでてきてしまうのです。。

    こうして考えると、本当に問題は山積みで片付けても片付けても
    減るどころか増える気がします。なのに行政が本腰入れて対応しているようには見えない。
    行政って、毎度の事ながら問題が露見して初めて、まともに動こうとしますよね。
    それまでは見てみぬふり。

    虐待をしている、ということはもちろん里親はひた隠しにするだろうから
    メディアに暴いてもらうことも相当難しそうですしね。

    やりたい放題、やる訳ですね。

  7. gladiolus2009 より:

    miyukiさん、こんばんは。

    おっしゃるとおり里親にヘルパーやらせたら絶対トラブるわね。
    専門的知識と見識に基づいた助言なら問題ないけど、
    カンチガイして上から目線でマイ意見をおしつけたり、
    斜め上の自分語り独演会をして助言したつもりになって悦に入ったりして
    児童の親に煙たがられて衝突するのが目に見えてるわね。

    ヘルパーを派遣するなら、要資格専門職を主体にすればいいと思うの。
    そうすれば「ボランティアだから」という言い訳は通用しなくなるし、
    プロなら自分の立場をカンチガイして距離感を間違えるリスクは減るわ。
    こういったらミもフタもないけど、シロートの善意や熱意ほど
    アテにしてはいけない・アテにならないモノはないと思うの。
    ボランティアを言い訳にする人間より、専門職に従事する人間のプロ意識とか、
    職業人としての自覚や職業倫理のほうが、はるかに信用できると思うの。
    里親に支払われる報酬の額や、彼らの貪欲な「賃上げ要求」を見てると
    すでにボランティアとは呼べない立派な利権制度、サイドビジネスに思えるけど、
    報酬はしっかり受け取ってるクセに「ボランティアだから」を言い訳にして
    里親の職権濫用や怠慢、資質のなさ、専門性の低さは見て見ぬフリ、
    里親は「ボランティアだから」質が低くても全然かまわないようですし。
    ホント、やりたい放題ですよ。

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