5月, 2010 のアーカイブ

要保護児童が、施設や里親に措置されると、
当然、それなりのコストが掛かります。
そのコストは、国と自治体の税金と、
児童の親が支払う負担金で、賄われています。

親の負担額は、収入に依るスライド制で、
親の収入が低ければ、負担額は低く、
収入が高ければ、高くなります。
この辺りの仕組みは、保育園に子供を預ける際に
親が支払う保育料の負担額と、同じです。
私の親は、裕福ではありませんでしたが、
それでも毎月、相応の金額を支払っていました。

さて、ここからが本題です。

一部の里親と、それを擁護する人々は、
里親制度を推進する理由として、

●施設と比べて、里親は、児童1人当たりのコストが安い。

と言う利点を、主張しています。

これは、【要保護児童にとっての利点】ではなく、
里親達が、里親制度を宣伝する時にアピールする、
【納税者にとっての利点】です。

確かに、資料を見る限りでは、
要保護児童1人に掛かるコストは、
施設措置より、里親委託の方が、安く上がります。

しかし、ここにも【カラクリ】があります。

里親は、無試験、無資格でなれます。
一応簡単な審査はあるようですが、
生活保護世帯と同等以上の収入があり、
児童ポルノ法等に抵触する前科が無ければ、
ほとんど誰でもなる事が出来ます。

養育里親は、児童ケアの専門家ではないので、
心に深い傷を抱え、特別なケアが必要な児童は、
預かる事が出来ません。

つまり、養育里親に委託される児童は、
「特別なケアは必要ない」と判断された、
問題の無い子供だけになります。
そして、里親は里子を選べますし、
預かった里子を、いつでも返品出来ます。

施設の場合は、そうは行きません。
施設に居る児童の内、虐待が理由で保護された子は、
ここ数年増加し、全体の4割を占めると言われています。
情緒障害児のケアに特化した施設も有り、
保育士や児童心理士等の資格を持つ専門職の方々が、
心に傷を抱えていたり、障害を持つ児童のケアに当たっておられます。

健康優良児だけを選りすぐったグループAと、
入院加療中の難病患者も含めたグループBを比較すれば、
グループAの方が、養育人の負担が軽いのは当然です。

養育里親と、施設を比べて、
コスト面だけを比較する事に、
何の意味があるのでしょうか。

勿論、施設には問題のない児童も沢山います。
そして、彼らの養育に当たる施設職員は、
最低でも2年以上の専門教育を受けた国家資格者で、
彼らは、児童を選り好み出来ません。
どんな子供でも、自立するまで養育します。

以上の事情を考慮すると、施設と里親を単純に比較して、
「里親の方がコストが安い」と結論付けるのは、
無理があるのではないでしょうか?

そして、忘れてならない事は、
里親と、それを擁護する人々は、
世間に対しては、
「施設より里親の方が安く、福祉予算の節約になります」
と宣伝しておきながら、
裏では、「施設職員と比較して、里親の賃金は安過ぎる。
里親手当てを、施設職員と同額にして下さい」
と、行政に賃上げを要求しています。

この事実を、どう思われますか?