「6. マロンの場合」カテゴリーのアーカイブ

現在、日本には、約4万人の要保護児童がいます。
ほとんどに親がいて、大多数が家庭復帰して居ます。

私は家庭復帰出来ずに、措置解除を迎えましたが、
面会の頻度は、親が置かれた状況に依って
ばらつきがありましたが、親と交流がありました。

親権者の同意や、保証人が必要な時は、
親がなってくれました。

問題になるのは、親が居ない児童や、
親が居ても、交流がない児童です。

出生届すら提出せずに、子供を遺棄する親が居ます。
出生届は提出しても、子供は産院から乳児院に直行して、
1度も面会に来ない親も居ます。

親の人生から、【削除】されてしまった子供達です。

とても悲しい事ですが、
親にとって、【居ると都合が悪い子供】は、
存在します。

私は、生みの親に恵まれなかった子供達は、
特別養子縁組で、育て親の家庭に迎えられる事が、
ベストだと思っています。

しかし、我が国の児童福祉の現場は、
養子縁組の斡旋に、消極的です。

特別養子縁組で、子供を迎えた御夫婦は、
民間の養子斡旋団体を利用された方が、多いようです。

一方で、【養育里親】への委託は、
国がノルマ【数値目標】を掲げて、増やそうとしています。

そのせいか、児童相談所の下では、
親権者が、特別養子縁組を望んでいても、
里親委託されてしまったケースがあります。

ある女性が、乳児院に預けたお子さんを、
子供がいない夫婦の養子になって、
可愛がられて欲しいと願い、
特別養子縁組を希望しましたが、
お子さんは、養育里親に委託されてしまいました。

児童相談所は、子供が特別養子になり、
実の父親への【権利】を喪失する事は、
子供の為にならないと、判断したようです。

特別養子は、実親との親子関係が消滅する為、
実親の財産の相続権を失います。

両親が離婚して、母親が親権を持っていても、
子供は、父親の財産を相続する権利があります。

婚外子でも、父親に認知されて居れば、
嫡出子の2分の1ですが、相続権が認められています。

当事者のお子さんの父親が、どんな人物で、
幾らの財産があるのか、分かりません。

限られた情報しかなく、詳しい事情は分かりませんが、

「自分で育てる事は出来ないが、
子供がいない夫婦に可愛がられて、
幸せになって欲しい」

と言う、切ない思いから、
親権者が特別養子縁組を希望しても、
児童相談所が取った措置は、
養育里親への委託でした。

私が、以前より危惧していた事が、
現実に起きている事を知り、愕然としました。

要保護児童に措置に関わる領域では、
児童相談所の権限は、絶大です。

子供が一旦、国の保護下に入ってしまうと、
親権者でも、どうにも出来ない事があります。

その子が大人になった時、
養育里親に委託されて幸せだったと思うか、
特別養子になりたかったと思うか、
本人でなければ、分かりませんが、

私の個人的な気持ちを言わせて戴ければ、
大人になって、父親を名乗る知らない人物に、
財産の生前分与を受けたり、遺産を相続しても、
失われた子供時代は、返って来ません。

今の苦しさが、癒える事はありません。
生き難さから、開放される事はありません。

時を巻き戻す事が出来ないように、
人生を埋め合わせる事は、出来ません。

望まない妊娠等で、お子さんを育てる事が出来ず、
特別養子縁組を希望する女性が居られましたら、
児童相談所に引き渡す前に、
民間の養子斡旋団体に、相談して下さい。

特別養子縁組は、
居ると都合が悪い子供を、
合法的に戸籍から抹消できる、唯一の手段です。

児童相談所に子供を引き渡すと、
お子さんは、国の保護下に入ります。

そうなると、お子さんの幸福より、
国の政策が、優先されてしまいます。

国の政策は、
「養育里親への委託率を上げろ」
です。

国が、養子縁組より、里親制度を推進しているのは、
長年、里親団体【好戦的な圧力団体】が徒党を組んで
毎年のように、国と交渉をしたり、圧力を掛けたり、
働き掛けを行っているからだと思います。

里親団体の、一見優しい言葉に惑わされず、
彼らの活動内容を見れば、
かなり攻撃性が高い団体だと分かります。

現在、全国で、里親登録者は約7千人も居ますが、
里子が委託されているのは、僅か2千人だけです。

「里親は不足している」と言うのは、都市伝説です。

現実は、全ての自治体で、里親は余って居ます。

その証拠に、里親コミュニティ等で、
「里親登録して、何年になりますが、里子が委託されない」
と言う、里親登録者の不満が、散見されます。

里親団体は、あの手この手で、
余剰里親の失業対策に、奔走しています。

しかし、
「特別養子縁組の成立数を上げろ」
と、政府や自治体に働き掛けたり、
圧力を掛けて居る団体は、ありません。

この決定的な違いが、
国が養子縁組よりも、
里親委託を優先した政策を掲げる
大きな理由だと、私は思っています。

「子供には、施設より、家庭的環境が良い」
「福祉予算の削減になる」
それだけの理由なら、養子縁組を推進する筈です。

里親委託より、養子縁組のほうが、
遥かに【家庭的】で、【安上がり】なのですから。

【こうのとりのゆりかご】は、お勧めしません。
遺棄児として、児童相談所に引き渡されるだけです。

親として、子供に関わるつもりがないのなら、
お子さんが、【特別養子縁組】で
実子と同等の権利を持つ子供として、
育て親の家庭に迎えられる機会を
与えてあげて下さい。

【彼女】は、中学2年から3年生の間、
預けられていた里親宅で、継続的に、
性犯罪の被害に逢いました。

当時、14歳でした。

去年、滋賀県で、無職の里親の男が、
14歳の里子の少女に猥褻行為をして、
逮捕されましたが、同じ年齢です。

滋賀の事件で、県と児童相談所は、
被害者の少女に謝罪しましたが、
里親団体は、いつもの事ながら、
「逮捕された里親は、そんな人ではない」
と、容疑者を庇い、逮捕に抗議する署名を集め、
上申書を提出しました。

【彼女】は、里親の実子の男に、
繰り返し、性的関係を強要されました。

【彼女】が居た里親宅は、
里子の小学生の女子が居ましたが、
小学生女子も、男の餌食にされていました。

里子達が、里親に言わなかったのは、
言っても信じて貰えないか、
自分達に非がある事にされると、
分かっていたからです。

犯人の男は、
「里親をしている両親を助けている、健気な良い子」
「里子達を、妹や弟のように可愛がっている、優しい子」
と、評価されていました。

男は、第三者の目がある所では、
里子達に、優しく接して居ました。

【彼女】は、諦めて居ました。

どうなってもいいと、思って居ました。

将来の事は、考えられませんでした。
将来と言う概念を、失っていました。

未来と言う言葉は知っていましたが、
彼女に考えられる未来は、せいぜい明日まででした。

里子として、里親の欲求や願望を読み取り、
彼らの思い通りに振る舞う事は、慣れていました。

【自分】は、ありませんでした。
【自分】を殺す事で、生きる事を許されて居ました。
それ以外の生き方は、用意されて居ませんでした。

この事件は、表沙汰になりませんでした。
【彼女】も、表沙汰にしたくありませんでした。

もし、表沙汰になったら、
【彼女】が、嘘吐き扱いされて居たかも知れません。

里親団体は、尤もらしく
「愛情に飢えた可哀相な少女が、
実子の男性を【誘惑】した」
と、声明を出したかも知れません。

「里子は愛着障害で、他人と適切な関係を築けず、
男性と、間違った形で、関係を築こうとした。
男性は、里子と接する苦しみの中で、罪を犯してしまった。
男性も悪いが、彼の行為を【誘発】した里子にも問題がある。
この事件を、里親家族だけの責任にしてはいけない」
と、言葉巧みに【責任転嫁】したかも知れません。

あるいは、
「実子君は、そんな人ではない。里子が嘘を吐いている」
として、署名や募金を集めたかも知れません。

滋賀の事件の時のように。

「里母に迷惑かけるのでは」
と、他の里親家族に迷惑を掛ける事を心配して、
被害を言い出せず、何ヶ月も苦しんだ少女を、
里親団体が【嘘吐き扱い】したように。

【彼女】は、今でも、
あの時、真実を言わないで良かった、
表沙汰にならないで良かったと、思っています。

滋賀の事件を知ってからは、
特に、その思いを強くしたそうです。

里子が、里親や彼らの家族を訴えるのは、
あまりにも、ハイリスクだと思います。

死にたくなるような被害に遭い、
更に、団結する里親集団に【嘘吐き扱い】されたり、
「加害者の行為を【誘発】した問題児」等と言われたら、
生きて行けなかったと、思います。




わいせつ容疑で里親逮捕、短期滞在の14歳女子生徒に
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20101021/dms1010211613020-n1.htm

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たまさんの
【はばたけ!養護施設出身者】
を拝見して、目から鱗が落ちました。

「里親が、里親になった事情は、
里子には一切関係ない」

その言葉は、元里子の私にも、衝撃でした。

言われてみれば、至極当たり前の事ですが、
情けない事に、私は、今まで気付きませんでした。

里親が【里親になろうと思った動機】は、
本来、里子には、関係ない事です。

私は、4件の里親宅を経験しました。

里親家庭に適応する過程で、
里親のニーズを汲む作業を、
里子の義務として、行って来ました。

空の巣症候群の寂しさを埋める為、
子供の姿をしたペット【愛玩児童】が欲しいのか。

大家族に憧れる里親が、大家族気分を楽しむ為、
エキストラの子役を求めて居るのか。

里親が「神様がお喜びになる事」をする為の、
生け贄が必要なのか。

善意のボランティアの【里親】と言う、
【社会的評価】が欲しいのか。

里親が、彼ら自身の子供時代を取り戻す為の、
代償行為か。

性欲処理の為、生きたダッチワイフが欲しいのか。

出来るだけ楽をして、お金が欲しいのか。

私は、里親が里子に求める【役割】を読み取り、
それに合わせる事で、生き延びて来ました。

一つの里親家庭に、複数のニーズが存在しました。

時と状況に依って、求められる【役割】は、異なりました。

世間に向けては、里親が【社会的評価】を得る為に、
私は【複雑な事情を背負った、可哀相な子供】の役割を演じました。
家の中では、私は、時給が発生しない【女中】であり、
里親のストレス発散用の【サンドバッグ】であり、
お金は欲しいけど、外に働きに出たくない里親の【収入源】として、
【手間もお金も掛からない存在】である事が、求められました。

彼らのニーズを汲み取って、
望み通りの役割を演じる事で、
彼らの家に居る事を、許されていました。

里親が、里子に求める【役割】を演じる事、
里親のニーズに応える事は、
里子には【義務】で、疑問に思いませんでした。

しかし、たまさんの記事を拝見して、気付きました。

里親が、里子にどのような役割を求めているか、
里子には、一切関係ない事です。

児童養護施設の施設長を勤めておられる方が、

「里親家庭への適応能力が高い子供ほど、
異常な程に気を使っている事を、忘れてはならない」

と仰っていた記事を、拝見した事があります。

しかし、里親サイドから、
そのような意見は、聞いた事がありません。

里親サイドから、聞こえてくるのは
「家族」「家庭」「実子同然」
毎度お決まりの【おためごかし】ばかりです。

私の親は、親だけです。
私の家庭は、親と暮らした家庭だけです。

私の親以外の大人に、親になって欲しいと
思った事はありませんでした。

私の家庭以外の、他人の家庭で暮らしたいと
思った事は、ありませんでした。

この感覚は、皆さんも、同じだと思います。

例えば、あなたの夫が、単身赴任になり、
一緒に暮らせなくなったとします。
見ず知らずの男性が、突然、家に押し掛けて来て、

「旦那さんが居なくて、寂しいでしょう。
今夜だけ、私があなたの夫代わりになって、
可哀相なあなたを、慰めてあげましょう」

と言われて、その男性と、夫婦の営みが出来ますか?

私にとって、里親は、そのような感覚でした。

「一晩だけの夫代わりですから、入籍はしません。
子供が出来ても、責任は取りません。認知もしません。
でも、僕はあなたを妻同然に思っているので、僕の妻として扱います。
僕は妻に避妊をしないので、あなたにも避妊はしません」

そう言われたら、「馬鹿にするな」と思いませんか?
「私にも、選ぶ権利があります」と、思いませんか?

里子には、里親を選ぶ権利は、ありません。

望みもしない里親の家に、放り込まれる事は、
好きでもない異性に、性的関係を強要される事と、
精神的な苦痛は、とても良く似ていると思います。

私が、自分の親と過ごした家庭の文化を無視され、
毎日、他人の家庭の文化や価値観を、押し付けられ、
毎日、他人の体臭が染み込んだ、他人の家で寝起きし、
毎日、他人を「お父さん」「お母さん」と呼ばされ、
毎日、見え透いた【家族ごっこ】を強いられ続ける日々は、
大袈裟ではなく、精神的なレイプ同然でした。

里親に預けられている里子は、ほとんど実親が存在します。

実親に虐待を受けた子供は、
養育里親に委託されません。

里親に委託されている子供のほとんどは、
経済的理由、親の病気や就業等、
家庭の事情で、預けられています。

児童福祉は、虐待事例や遺棄児を除いて、
親子分離の防止を最優先に、
【親子】を支援して欲しいと願います。

適切に養育出来る親と、分離してしまった児童は、
家庭復帰を最優先に、支援して欲しいと思います。

親がいない児童は、特別養子縁組で、
実子と同等の権利を持つ子供として、
育ての親の家庭に迎えられて欲しいと、願います。

子供だった私が、国の保護下に入ったのは、
所謂「経済的な理由」です。

うちは、母子家庭でした。
母はパートを掛け持ちして、家計を支えていましたが、
バブル崩壊後の不況の中、母子家庭の世帯主が、
安定した定職と、充分な収入を得るのは、
難しい事だったと思います。

母は、大人になった私に、
当時、どれ程惨めな想いをしたか、
母親が子供を手放すと言う事は、
身が引き裂かれる程、辛い事であると、
話して聞かせました。

母は、苦労話をしたかったのではなく、
親子分離の際、母親が感じる辛さを語る事で、
私を想う彼女の気持ちを伝えようとしたのだろうと、
思います。

うちはかなり貧乏だったようですが、
不思議な事に、私の中では、
「貧しくて辛かった」
「惨めだった」
と言う記憶は、ありません。

確かに、贅沢な生活ではありませんでしたが、
その生活に、不満はありませんでした。

一晩だけ、電気を止められた事は覚えていますが、
懐中電灯と蝋燭を灯して、過ごした夜の事は、
私の中では【楽しい思い出】に分類されています。

蝋燭を灯し、食事をするのは、
誕生日かクリスマスのように思えて、
はしゃいでいた程です。

家庭が貧しかった事は、母が考えている程、
私には、辛い事ではありませんでした。

母と離れ離れになる事の方が、
何倍も辛い事でした。

私は、母が福祉の支援を受けず、
私を手放し、母一人で自立する道を選んだのは、
母の【プライド】の所為だと、思っていました。

しかし、後になって知った事ですが、
母は、役所に相談に行った事があるそうです。

福祉課の役人は、こう言ったそうです。

「子供を施設に入れて、働けばいいだろ」

これは、【母子家庭の自立支援】を謳い、
困った母親達の相談を受け付ける【窓口】の台詞です。

母は、私を預ける決意をしました。

但し、母が私の預け先に選んだのは、
児童養護施設ではなく、里親家庭でした。

母は、私が憎くて里親に預けたのではない事、
むしろ、その反対だと言う事は、理解しています。

しかし、母のこの選択を、私は長い間、恨みました。
時には、口に出して母を責め、母を罵り、
無駄に傷付け合いました。

母は、施設へのステレオタイプの偏見と、
里親への誤認識(里親サイドの宣伝を鵜呑みにした、
事実に反する思い込み)を、持っていました。

「もし」の話をしても、仕方ありませんが、
母が困り果てて、役所に相談した時、
親子分離を防ぐ為の支援を、受けられていたら・・・
と考えると、悔しさにも似た感情が、胸を塞ぎます。

親子分離は防げなかったとしても、
あの時、せめて、何も知らない母に、
【里親家庭の実態】を、教える人がいたら。

私のような目に遭う子供を、一人でも減らす為に、
【里親家庭の実態】を世間に訴え、
被害者を減らす努力を続けなければと思います。




追記(H22/9/14)
このような記事を書くと、
「親が一番と言う訳ではない」
と言う意見を戴く事と思います。

確かに、家庭で親に育てられても、
虐待や、不適切な養育を受け、苦しんでいる方が居るのは、
承知しています。

私は、何が何でも親元が良いと主張している訳ではなく、
虐待する親や、不適切な養育をする親からは、
子供は救出され、保護されるべきだと思います。

我が国の児童福祉政策の最大の問題は、
子供の気持ちを置き去りにして、
大人の意見【子供本人の意思を無視した措置】が、
押し付けられ、強制される事だと思います。

一番大事なのは、
【子供本人の気持ち】を尊重して、
一人一人のニーズに合ったケア、サポートが
提供される事だと思います。

【子供の気持ち】を尊重した結果が、
親子分離や、里親家庭への措置だとするならば、
それはそれで良いと思います。

但し、その際は、子供に、
里親制度についての正しい説明をして、
(養子縁組ではない事、
18歳で措置終了になる事、
里親に措置解除されて、返品される可能性がある事、
里親の私費で養われるのではなく、
十分な養育費が支給される事、
虐待や不適切養育を受ける危険性がある事)
子供が理解した上で、行われるべきです。

欧米では、里子となる児童に、
里親制度について、きちんと説明がなされ、
里子の権利を教えられます。

「あなたは、このように扱われる権利があります」
「このような扱いをされたら、不適切です」と、
日常生活の中の具体的な場面を例に上げて、
子供に分かり易いように、説明します。

もし、里親に虐待や、不適切な扱いをされた場合、
どうすれば良いのか、助けを求める方法も含めて、
きちんと子供に説明がなされるそうです。

児童養護施設の職員さんのブログに、
興味深いエピソードがありました。

その方の勤める施設は、大舎制でしたが、
この春から、ユニット制になったそうです。

それ以前は、子供達の万引きに悩まされ、
週に1度は、商店に謝罪に行っていたそうですが、
ユニット制になった途端、万引きはピタリと止まり、
この3ヶ月、万引きはゼロだと書いておられました。

このエピソードは、単純明快な事実を、
とても分かりやすい形で示唆しています。

「子供の問題行動は、環境の問題」

「子供の問題行動は、良い養育環境に置けば、
目に見えて改善する」

と言う事です。

子供の今現在の問題行動は、
【今現在の環境】を映す鏡です。

今現在、子供が舐めている【苦しさ】を
計るバロメーターです。

「問題行動に走らせている原因こそが、問題」
なのです。

この施設の場合、
大舎制(大人数集団養育)と言う環境が、
子供達を万引きに走らせていたと思われます。

ユニット制(少人数グループ養育)になった事で、
【子供達を不安定にしていた問題】が改善され、
万引きがピタリと止まったのです。

さて、里親家庭の場合は、どうでしょうか。

里親家庭が、優れた養育環境であるなら、
そこで育てられている子供達は、
心身共に健やかで、安定している筈です。
問題行動は、起こさない筈です。

たとえ問題行動を抱えている子供でも、
良い環境に置けば、目に見えて改善する事は、
上記の施設の事例でも、明らかなのですから。

しかし、里親達の主張によると、
現実は、正反対のようです。

里親に預けられている児童は、とても不安定で、
盗癖、虚言癖、暴力、放火等の問題行動を、
絶えず起こしているそうです。

それらの問題は、改善するどころか、
年を追う毎にエスカレートして、
【里親家庭を崩壊させる程】の
凶悪な問題行動に発展するそうです。

ここで取り上げている児童は、
被虐待児ではありません。
非行歴のある児童でもありません。

海の物とも山の物とも付かない幼少期に、
里親委託された児童です。

物心付くかどうかの2~3歳の幼児が、
里親委託されるや否や、問題児となり、
「里親家庭と言う環境の中で
問題行動をエスカレートさせている」
と、里親達は主張しているのです。

里親に問題があるのでは?
と思うのは、私だけでしょうか。

大沼順子ちゃんのように、乳児院では
「心優しい子」「本当に笑顔がかわいい子」
と評価された、特に問題のない子供が、
里親宅に委託された途端、
虐待されても仕方ない障害児になり、
殺されても仕方ない問題児になります。

そして、3歳の幼児を撲殺した
「里親も被害者」
だと、里親サイドは主張しています。

このような主張を展開する里親達も、
他の児童ケアの専門家と【同じ言葉】を使って、
下のように続けます。

「悪いのは、子供ではありません。
子供を問題行動に走らせる環境が悪いのです。
彼らの傷を癒してあげるのが、里親の役目です」

しかし、里親用語で
「子供を問題行動に走らせる環境」
と言う言葉は、

「その児童が、里親宅に委託される前に居た環境」

を意味します。

里親達は、里子の問題行動を、
「実親の家庭環境が劣悪だったから」
「前の里親が、躾に厳し過ぎたから」
「施設・乳児院で育った子だから」等、
子供が前に居た環境の所為にします。

しかし、考えて戴きたいのです。

児童養護施設が、
大舎制からユニット制に変わっただけで、
そこで暮らす子供達の問題行動は、
目に見えて改善しました。

「週に1回は謝罪に行っていた」状態から、
「この3ヶ月間、ゼロ」になったのです。

子供達の過去が、書き換えられた訳ではありません。
子供達が施設に入所する以前に居た環境を、
タイムマシンに乗って変えた訳でもありません。

【今現在の養育環境】が変わったから、
【今現在の子供達の行動】が変化したのです。

心理療法の場面では、
「親が語る【子供の問題】は、親自身の問題」
として扱う事が、常識になっているそうです。

子供の問題行動に悩む親御さん達は、
子供への【治療】を求めて、専門家の元を訪れます。
そして、【子供の問題】を滔々と訴えます。

万引き、家庭内暴力、不登校、自傷、非行行為。
親御さん達を悩ませる子供の問題行動は、
数え上げれば限がありません。

親は【子供の問題】として問題を捉え、
彼らの子供を治療して欲しいと訴えますが、
当面の治療対象となるのは、親自身です。

そして、親への治療が進むにつれて、
【子供の問題】が、改善していくそうです。

子供への直接的なケアは行われなくても、
親がケアを受け、癒される事で、
子供も癒されていきます。

聡明な方なら、お分かりの事と思います。

親が治療を受ける中で、
親自身の抱える問題が、浮き彫りになります。

夫婦関係の問題。
配偶者への怒り。
彼ら自身の【親】への怒り。
子供時代に未消化のまま、置き去られた葛藤。

それらの問題の存在に気付いた親は、
彼ら自身の【問題】と向き合う事になります。
そうする内に、子供の様子に変化が現われます。

親自身が【自分の抱える問題】を処理する事で、
子供の捉え方、態度、話し方、接し方が変わり、
子供の抱える問題も、同時に改善されるのです。

子供が生まれた時から、自分の手で育てた親は、
目の前に居る子供は、自分の【育児の結果】です。

子供が万引きしても、家の中で暴れても、
不登校になっても、他人に危害を加えても、
親は、責任転嫁する矛先がありません。

彼らは、自分の育児の【結果】を目の前に、
何が悪かったのだろうと自問自答し、悩み、
子供と向き合い、自分の闇と向き合います。

しかし、里親は、
児童が「前に居た環境」に、
責任転嫁する事が可能です。

幼児期に里親に委託された子供が、
里親家庭の中で傷付き、
激しい葛藤を抱え、苦しみもがき、
その傷や苦しさが、
【問題行動】と言う形で表出しようものなら、

「施設(乳児院)で育ったから」

「前の環境が、劣悪だったから」

の一言で、すべて片付けられてしまいます。

乳児院で育てられ、施設で暮らす少年少女は、
大舎制からユニット制に変わった途端、
万引きがピタリと止みました。

同じように乳児院で育った子供が、
里親家庭に預けられると、
万引き、盗み、暴力、放火、
やりたい放題の【非行のデパート】になると
里親サイドは主張している訳です。

その主張が、虚偽や誇張ではないとするならば、
里子を問題行動に走らせる原因、
問題の根源は、何処にあるのでしょうか?

実親でしょうか?
乳児院・施設が悪いのでしょうか?
それとも・・・?

第三者の方の忌憚ない御意見を
お聞かせ戴ければと思います。




非行歴のある少年の療育を行っている里親は、
日本に1件だけですが、おられます。
わずか1件だけです。

非行の背景には、虐待が潜んでいる事例が多く、
被虐待児のケアと重なる領域なのですが、
全国里親会は、【専門里親】への委託対象に、
非行歴のある児童を入れる事に、反対しています。

全国里親会が反対していると言う事は、
専門里親の多くが、非行歴のある児童の受け入れに
反対していると捉えて、良いのでしょうか。

尚、里親の大半を占める【養育里親】に、
非行歴のある児童や、虐待で心に深い傷を負っている等、
特別なケアの必要な児童は、委託されません。

最近、mixi内で、ある主婦(仮名Dさん)が、
「子供を殺すくらいなら、私の家の前に捨てて」
と言う旨の日記を書き、
その翌日、子供を捨てたがっている母親が現れ、
生後5ヶ月の乳児を遺棄したそうです。

詳細は、りさりさんのブログ、
『ぬるく愛を語れ!』

●個人赤ちゃんポスト? 「子供を捨てるなら私の家の前に捨てて」mix日記・不気味な広がり
●本当は怖い私設赤ちゃんポスト
●「赤ちゃんポスト」と「虐待問題」は別次元

の記事を、御覧戴ければと思います。

Dさんの一連の日記や発言は、
腑に落ちない部分が多々あり、
事実なのか、妄想の産物なのか、
釈然としない物があるのは、確かです。

仮に、妄想の産物だったとしても、
お涙頂戴の美談としてmixi内で広まり、
彼女を英雄視するムードに、
恐怖を覚えずに居られませんでした。

私が抱いた不安、違和感、恐怖は、
上の記事にりさりさんが書かれている事と、ほぼ同じです。

百歩譲って、この騒動が実話だとすれば、
母親は【保護責任者遺棄罪】と言う罪を犯し、
Dさんは、それを教唆、幇助しました。

子供に恵まれず、養子を強く望む夫婦が、
「殺すくらいなら、うちに下さい。大事に育てます」
と言っているなら、心情的に理解出来ます。

しかし、Dさんは、そうではありません。

育児に疲れ、追い詰められた母親に、
適切な窓口や団体を紹介するでもなく、
福祉サービスに繋げる働きかけもせず、
最初から【子捨て】を前提に、連絡を取り合いました。
そして、遺棄された子供を発見し、警察に届けました。

彼女がした事は、それだけです。
後の事は、どうでもいいのだそうです。

Dさんは「命最優先」と言い切り、
彼女の日記には、
「一つの命を助けた」「感動した」等、
賛同コメントが多数寄せられました。

平凡な主婦が、一躍英雄になりました。

彼女を賛美する人々の意見の多くは、
「言うだけで、行動しない人が多い中で、
彼女は自分が出来る事をやって、
一つの命を助けた」と言う物です。

命を助けた・・・?

今回の場合、偶然幸運が重なった結果、
「偶然にも助かった」と言う表現が
適切なのではないでしょうか?

Dさんは、自分の行いがもたらす【最悪の結果】を、
考えた事があるのでしょうか?

熱中症で救急車搬送される患者の多くは、
自力で水分補給が出来る大人で、
室内で、熱中症になっています。

まして、自分で水分補給が出来ない乳児を
炎天下の屋外に放置すれば、
わずか10分で、死に至る危険があります。

逆に、寒い時期は、
低体温で危険な状態に陥るまで
10分もあれば充分です。

カラス等に、襲われる危険もあります。
不可抗力の事故に、巻き込まれる危険もあります。

そして、この話が【美談】として広まり、
mixiの中で【個人赤ちゃんポスト】が市民権を得れば、
ほぼ必ず、悪用する人が出て来ます。
取り返しのつかない被害に遭う子供が、生まれます。

Dさんは、それらの危険性を、
少しでも考えた事があるのでしょうか?

発見した乳児が、危険な状態だった場合、
速やかに容態を判断して、適切な処置をする
知識と技能があるのでしょうか?

物理的に「出来る、行動できる」だけなら、
誰だって、何だって出来ます。
しかし、分別のある大人なら、
「自分が出来る事」の最低条件として、
「その結果に、責任が取れる事」が
あって然るべきではないでしょうか?

物理的な側面だけなら、「出来る事」でも、
その結果に責任が取れないなら、
「出来る事」の中に入れてはならないのでは
ないでしょうか?

彼女は、「命最優先」と言っていますが、
本当に子供の命を最優先に考えているなら、
それがどれ程のリスクを伴い、
子供の命を危険に晒すか、
何よりも優先して考える筈です。

彼女にとっての最優先課題は、
「自分が赤ん坊を拾う事」
だったとしか、思えません。

もっと言えば、
「子供を助けて、注目を浴びる事」
が、目的だったのではないでしょうか?

世間に、自分を良く思わせる為、
自分の欲望を満たす為の道具として
子供を利用する人は、うんざりです。

その手の輩は、どこにでも居ます。
厭きれる程、大勢見て来ました。
嫌になるくらいウジャウジャ居ます。

逆説的に言えば、
【かわいそうな子供】を利用すれば、
誰でも手軽に、手っ取り早く
【社会的評価】を得られる、と言う事です。

英雄視され、祭り上げられるDさんに、
里親達の姿が重なって見えました。