現在、日本には、約4万人の要保護児童がいます。
ほとんどに親がいて、大多数が家庭復帰して居ます。
私は家庭復帰出来ずに、措置解除を迎えましたが、
面会の頻度は、親が置かれた状況に依って
ばらつきがありましたが、親と交流がありました。
親権者の同意や、保証人が必要な時は、
親がなってくれました。
問題になるのは、親が居ない児童や、
親が居ても、交流がない児童です。
出生届すら提出せずに、子供を遺棄する親が居ます。
出生届は提出しても、子供は産院から乳児院に直行して、
1度も面会に来ない親も居ます。
親の人生から、【削除】されてしまった子供達です。
とても悲しい事ですが、
親にとって、【居ると都合が悪い子供】は、
存在します。
私は、生みの親に恵まれなかった子供達は、
特別養子縁組で、育て親の家庭に迎えられる事が、
ベストだと思っています。
しかし、我が国の児童福祉の現場は、
養子縁組の斡旋に、消極的です。
特別養子縁組で、子供を迎えた御夫婦は、
民間の養子斡旋団体を利用された方が、多いようです。
一方で、【養育里親】への委託は、
国がノルマ【数値目標】を掲げて、増やそうとしています。
そのせいか、児童相談所の下では、
親権者が、特別養子縁組を望んでいても、
里親委託されてしまったケースがあります。
ある女性が、乳児院に預けたお子さんを、
子供がいない夫婦の養子になって、
可愛がられて欲しいと願い、
特別養子縁組を希望しましたが、
お子さんは、養育里親に委託されてしまいました。
児童相談所は、子供が特別養子になり、
実の父親への【権利】を喪失する事は、
子供の為にならないと、判断したようです。
特別養子は、実親との親子関係が消滅する為、
実親の財産の相続権を失います。
両親が離婚して、母親が親権を持っていても、
子供は、父親の財産を相続する権利があります。
婚外子でも、父親に認知されて居れば、
嫡出子の2分の1ですが、相続権が認められています。
当事者のお子さんの父親が、どんな人物で、
幾らの財産があるのか、分かりません。
限られた情報しかなく、詳しい事情は分かりませんが、
「自分で育てる事は出来ないが、
子供がいない夫婦に可愛がられて、
幸せになって欲しい」
と言う、切ない思いから、
親権者が特別養子縁組を希望しても、
児童相談所が取った措置は、
養育里親への委託でした。
私が、以前より危惧していた事が、
現実に起きている事を知り、愕然としました。
要保護児童に措置に関わる領域では、
児童相談所の権限は、絶大です。
子供が一旦、国の保護下に入ってしまうと、
親権者でも、どうにも出来ない事があります。
その子が大人になった時、
養育里親に委託されて幸せだったと思うか、
特別養子になりたかったと思うか、
本人でなければ、分かりませんが、
私の個人的な気持ちを言わせて戴ければ、
大人になって、父親を名乗る知らない人物に、
財産の生前分与を受けたり、遺産を相続しても、
失われた子供時代は、返って来ません。
今の苦しさが、癒える事はありません。
生き難さから、開放される事はありません。
時を巻き戻す事が出来ないように、
人生を埋め合わせる事は、出来ません。
望まない妊娠等で、お子さんを育てる事が出来ず、
特別養子縁組を希望する女性が居られましたら、
児童相談所に引き渡す前に、
民間の養子斡旋団体に、相談して下さい。
特別養子縁組は、
居ると都合が悪い子供を、
合法的に戸籍から抹消できる、唯一の手段です。
児童相談所に子供を引き渡すと、
お子さんは、国の保護下に入ります。
そうなると、お子さんの幸福より、
国の政策が、優先されてしまいます。
国の政策は、
「養育里親への委託率を上げろ」
です。
国が、養子縁組より、里親制度を推進しているのは、
長年、里親団体【好戦的な圧力団体】が徒党を組んで
毎年のように、国と交渉をしたり、圧力を掛けたり、
働き掛けを行っているからだと思います。
里親団体の、一見優しい言葉に惑わされず、
彼らの活動内容を見れば、
かなり攻撃性が高い団体だと分かります。
現在、全国で、里親登録者は約7千人も居ますが、
里子が委託されているのは、僅か2千人だけです。
「里親は不足している」と言うのは、都市伝説です。
現実は、全ての自治体で、里親は余って居ます。
その証拠に、里親コミュニティ等で、
「里親登録して、何年になりますが、里子が委託されない」
と言う、里親登録者の不満が、散見されます。
里親団体は、あの手この手で、
余剰里親の失業対策に、奔走しています。
しかし、
「特別養子縁組の成立数を上げろ」
と、政府や自治体に働き掛けたり、
圧力を掛けて居る団体は、ありません。
この決定的な違いが、
国が養子縁組よりも、
里親委託を優先した政策を掲げる
大きな理由だと、私は思っています。
「子供には、施設より、家庭的環境が良い」
「福祉予算の削減になる」
それだけの理由なら、養子縁組を推進する筈です。
里親委託より、養子縁組のほうが、
遥かに【家庭的】で、【安上がり】なのですから。
【こうのとりのゆりかご】は、お勧めしません。
遺棄児として、児童相談所に引き渡されるだけです。
親として、子供に関わるつもりがないのなら、
お子さんが、【特別養子縁組】で
実子と同等の権利を持つ子供として、
育て親の家庭に迎えられる機会を
与えてあげて下さい。