親に育てられない子は「小規模施設」か「養子縁組」で

gladiolus2009 による 7. グラジオラスの場合, 8. 雑記 への投稿 (7. グラジオラスの場合, 8. 雑記)

「親に育てられない子ども」といっても、そうなる事情はさまざまで、
その子の抱える事情によって必要な「社会的養護」の質は異なると思うの。
中には「社会的養護」の枠を超えた、もっと個人的な「うしろ盾」を
あたえられるほうがモアベターである子もいるの。

「親に育てられない子ども」を大きくわけると、
以下の2つのグループにカテゴライズできると思うの。

■親との関係を保ちつつ、社会的養護が必要な子ども
・将来的に、親が子どもと共に暮らすことを望んでる子
・親が家庭の中で子どもを育てることは難しいが
 子どもに関わっていこうとする意思のある子
・親子が分離しなければならなくなった事情が解決すれば
 親もとに帰れる見込みのある子
・子どもがある程度まで成長して「親がかり」の年齢を過ぎれば
 親もとに帰れる見込みのある子

■社会的養護の枠を超えた『うしろ盾』が必要な子ども
・望まない妊娠、予定外の妊娠などで、遺棄された子
・裁判所が親の親権を停止した子
・強制的な親子分離に至るほど重篤な虐待や不適切養育を受けた子で
 親が関連機関や専門家によるケアやサポートを拒むなど
 子どもの家庭復帰へ向けた取り組みに非協力的な親の子
・一定期間(1~2年)親の消息が不明な状態にある子
・一定期間、親が面会に来ない、連絡が取れないなど
 わが子に関わっていこうとする意思のない親の子

ようするに「親が愛情をもって子に関わっていく気があるか否か」で
その子に必要なサポートやケアの質は異なると思うんだけど、
保護児童のうち「親との関係を保ちつつ、社会的養護が必要な子ども」は、
小規模施設(ここでは便宜上、グループホームやユニット制の施設も
まとめて「小規模施設」と呼ばせてもらうわね)で育てられるのが
現状ではいちばん安全な選択肢であり、ベストであると思うの。
その理由の説明は長くなるので、次の機会に書くわね。

そして「社会的養護の枠を超えた『うしろ盾』が必要な子ども」は、
養子縁組によって(可能なかぎり「特別養子縁組」によって)
「法的な地位」と「個人的かつ普遍的な拠り所」を保証してほしいの。

里親の大半を占める「養育里親」は、養子縁組を前提としない里親なの。
税金から「里子を育てる労働報酬」と「里子の養育費」をもらって、
期間限定で、社会的養護が必要な「他人の子」を預かるだけの制度なの。
15歳か18歳になって措置終了すれば、里子は里親の家を出て行かねばならないの。
里親制度は、児童養護施設と同じ土俵の上にある制度であり、
「公共の福祉」として提供される「社会的養護」の一形態であり、
里親家庭が里子の個人的な「拠り所」となりうる制度ではないの。
ただ、保護児童に「社会的養護が提供される場所」が、
「施設」か「里親の家」かという違いがあるだけに過ぎないの。

でも、親の存在が「百害あって一利なし」で、拠り所のない子どもは、
「国が定めた保護児童として、社会的養護の枠の中で、18歳になるまで
衣食住が提供され、高校に行く機会が与えられる」だけでは事足りないと思うの。
社会的養護の枠を超えた「恒久的な後ろ盾」が必要なの。
だからこそ、施設や養育里親といった「期間限定の社会的養護」ではなく、
一生涯に渡る親子関係を前提にした「養子縁組家庭」で育てられてほしいの。

里親家庭の利点とされる事(施設より低コスト、家庭的な養育環境など)は、
すべてにおいて養子縁組家庭のほうが「より優れてる」のは一目瞭然だし、
里親家庭の危険性(里子虐待や不適切養育など)の高さを考えると、
養子縁組家庭のほうが「はるかに安全」であると思うの。

養育里親には年間200万円以上の公費が支給され、
里子にお金をかけなければ里親が儲かる制度なの。
また、里親は資格もいらなければ試験もないの。
いちおう審査はあるみたいだけど、そのハードルは低く
「希望すれば、ほとんど誰でもなれる」制度なの。
それゆえに全体的に質が低く、悪質な里親が多数まぎれこんでるの。
最初から里子をマトモに育てる気なんてサラサラない悪徳里親が
一般的に想像される以上の多数派を占めてる現実があるの。

それにひきかえ、「特別養子縁組」の審査はかなり厳しく、
里親審査とは比較にならないほど厳格な基準が定められてるの。
(世間には、この「特別養子縁組」と「里親制度」を混同して、
里親は厳しい審査があると誤解してる方がおられますが、
それは「大きな誤解」以外のなにものでもないと言っておきますわ。)
そして当然ながら、養子縁組家庭は養育費や報酬が支給されず、
一般家庭と同様に「わが子として私費で子どもを育てる」の。
そこに、お金目当ての守銭奴が入り込む余地はないの。
銭ゲバ里親の下に措置されてヒドイ目に遭う危険性の高さに比べたら、
養子縁組家庭におけるリスクは、一般家庭のそれと同程度だと思うわ。

何度も言うけど、養育里親は、施設養護と同じ「公共の福祉」の一形態として、
税金から報酬をもらって、期間限定で「他人の子」を預かるだけの制度なの。
それよりも、「特別養子縁組」で恒久的な親子関係を成立させて、
裁判所の審査に合格した夫婦の「わが子」として育てられるほうが
法的な面でも社会的な面でも、子どもが享受するメリットは大きいの。
親がアテにならない子ども・親の存在がアダになりそうな子どもにとって、
養子縁組と養育里親のどちらがモアベターであるかは一目瞭然なのに、
里親推進派が「養育里親」に固執する理由が理解できないわ。

・・・というのはウソで、彼らがやってる姑息な宣伝工作は
里親手当の賃上げのため、里親の社会的評価とやらを守るため、
余剰里親の失業対策のためのキャンペーンであるのは
大変よく理解してますので、その点についてのツッコミは不要よ。

コメント
  1. kero より:

    はじめまして、keroです。
    わたしは、2年前より養育里親として登録し、1年半ほど前より男の子を養育させてもらっているものです。
    たまたまこのサイトを知り、拝見させていただきました。

    我が家は6人家族で主人とわたし、実子が3人、そして4歳の男の子が一緒に住んでいます。
    3歳過ぎで養護施設より我が家に来た子どもは、家に帰れる見込みがありません。
    母親は養子縁組を望んでいましたが、男の子は人気がないんですね。
    わたしも驚いたのですが、特別養子縁組等を望む人たちは性別の希望を言えるんです。
    結果、女の子を望む人たちが多く、男の子は養子にはなれないのです。
    自分の実子であれば、おなかに宿した際に「女の子がいい」と思う人は今の世の中、多いと思いますが
    実際には男の子でも、もちろん産み育てていきます。
    しかし、養子の場合はそうではないという、恐ろしい現実がわたしの住む地域ではあります。
    そこで、ワーカーは養育里親も視野に入れてみませんか?と提案したそうです。

    同じ児童相談所管内ではありませんが、府下で養育里親を希望していた我が家にお話があり、
    今に至っています。

    男の子であるがゆえに、養子縁組の希望者がいない。
    ゆえに、養護施設で18歳まで養育してもらってその後自分の少ない資金で独り立ち、
    そんなの、つらすぎませんか?

    まだまだ至らない里親でしかありませんが、
    せめて実子と同じくらいの生活はさせてやりたい。
    もっと深い愛情をかけられるように努めていきたいと思います。
    実子とおなじように、大切なことを伝えていきたいです。

    ワーカーたちには内緒ですが、毎月3万円をお預かりしている子どもの通帳に貯金しています。
    先日、60万になりました。これを大学の資金にできればと思っています。
    もちろん、本人が望まなければ、大学に行かなくてもいいですが、もし、我が家から独り立ちするときには、もたせるつもりでいます。
    18歳までしか生活費や里親の費用は出ませんが、18歳で出て行きなさいというつもりはありません。
    大人になっても、我が家を実家として帰ってきてほしい、そんな関係になれるようにと願っています。

    残念ながら、我が家には3人の実子がいるので、その上に養子縁組は考えていません。
    3人の養育費だけでも生活費は精一杯というのが、我が家の現状です。
    彼への生活費や里親手当てが支給されるので、わたしたちは、里親として彼に関わることができます。

    実子たちには多くは期待してきていませんが、
    彼らはそれぞれに戸惑いながらも、受け入れてくれています。
    彼が大人になっても、当然のように関わるような口ぶりでいます。
    びっくりして、「大人になっても関わってくれるつもりなの?」と実子に尋ねると、
    「あたりまえやん、お母さんが里親をしたいといった時から、そう考えていたよ」と涙が出てくるほどうれしいことを言ってくれました。
    もちろん、将来のことはわかりませんが、そうなれるよう、我が家は願って生活しています。

    そんな養育里親もいることをどこかあたまの隅においていただけたら、うれしいです。

  2. 里山 より:

     家という場所を、どんな場所だと定義するかの問題なのでしょうかね。
     里親制度を推奨しておられる方は、家を、児童養護施設などと比較して、1対1の人間関係の中で子供を育てるシステムだと考えておられる節がありますが、私は、家とは子育てのシステムではなくて、愛情がある場所だと思います。だから、家=システムというとらえ方を少々不愉快に感じます。
     私も以前、里子=養子と思い込んでいました。だから、里子は養子としてまさに実子同然に育てられるものだと思っていましたし、『親が育てられない子は里親家庭へ』という主張をもっともなことだと感じていました。ところが後に、里子は養子ではないことを知り、大変に驚きました。『親が育てられない子は養子に里親家庭へ』と主張する人は、なぜその前にまず『親が育てられない子は養親へ』と主張しないのでしょうね。とても不思議に思います。

  3. 里山 より:

    タイプミスです。
    『親が育てられない子は養子に里親家庭へ』
    は、
    『親が育てられない子は里親家庭へ』
    の間違えでした。

  4. Aisha より:

    本当に考えさせられることですね。ご提供ありがとうございます。

  5. gladiolus2009 より:

    keroさんは施設での「良い思い出」を綴っておられる方のブログに
    施設虐待サイトのURLを大量にベタベタ貼りまくった人でしょうか?
    人違いだったらスミマセンね。

  6. gladiolus2009 より:

    里山さん、こんばんは。
    家とは愛情のある場所・・・そのとおりだと思います。
    親に育てられない子どもに本気で「家庭」を与えたいと思うなら、
    里親家庭よりも先に養親家庭が思い浮かぶと思うのですが、
    どういうワケか「里親家庭」に固執する人々がおられるのが、私も不思議でした。
    児童相談所の管轄下にある里親制度の中で「養子縁組里親」は少数派ですが、
    民間の養子斡旋団体には子どものいない養子希望夫婦が大勢待機しており
    幼い子どもは男女問わず引く手あまたのようです。
    そのような現実があり、養育里親よりも養子縁組家庭のほうが
    かぎりなく「本当の親子関係」に近く「家庭」と呼ぶにふさわしいのに、
    あたかも養子縁組家庭がこの世に存在しないかのように
    親に育てられない子どもに「養育里親」を推奨する。
    この例ひとつとっても、子どもの幸福のためにある制度ではなく
    里親のための制度だということが、よくおわかりだと思います。

  7. gladiolus2009 より:

    Aishaさん、はじめまして。
    当ブログをご閲覧くださり、ありがとうございました。
    里親制度という名の闇に、ご興味を持っていただけただけで嬉しいです。
    またお越しくださいね。

  8. 海ママ より:

    gladiolusさん、皆さん、はじめまして。
    里子制度を調べて、こちらのサイトに辿り着きました。
    皆さんの体験談の内容に、衝撃を受けてます。私が想像した内容と皆さんが体験した現実のギャップに、冷水を浴びせ掛けられた気分です。
    里子制度は、経済的にゆとりがある優しい里親さんが、身寄りのない子供を養子に引き取って育てる制度だと思ってたので、里親に報酬が出る事に、驚きました。実子を育てるだけで精一杯で、経済的に余裕のない家庭が里親になれる事も、驚きました。
    でも、養子にしないで、期間限定で育ててお金を貰えるなら、虐待する里親が居ても、頷けます。
    お金をばら撒いて人を集めれば、どんな人種が群がって来るか私にも予測出来るのに、国(厚生労働省でしょうか)は何を考えてるんでしょうね。
    里親資格に収入基準を設ける、里親報酬の無料化、養育費は実費支給、養子にするつもりがない人を里親にしないetc、里親になる人のフィルタリングの厳格化が急務に思います。

  9. gladiolus2009 より:

    海ママさん、こんばんは。
    公私ともに忙しく、お返事が遅くなって申し訳ありません。

    里親制度と養子縁組は別モノです。
    そして養子縁組にも、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類あり、
    普通養子は日本に古くからある「家」のためにある制度とすれば、
    特別養子は子どもの利益を最優先に考えた制度といえます。

    経済的に余裕のない里親は、たくさんいますよ。
    私は数件の里親家庭を経験しましたが、1件をのぞいて
    お世辞にも経済的に余裕のある家ではなかったですね。
    名目上は自営業でも、実質無職に近い里親もいました。
    彼らはほとんど「里親業」で生活してたのでは?
    里子に使うお金は1円でも少なく済ませたい、という感じで、
    下着や靴下さえも新品は買ってもらえず、だれかのお古でした。
    だれが履いたか知れない黄ばんだパンツをあてがわれ、
    それでも、ほつれてなければラッキーと思う生活でした。
    里親は里子のパンツ1枚さえ買いたくなかったのでしょう。

    お金がもらえて、試験もない、資格もいらない、誰でもなれるなら、
    お金の匂いに敏感な人々が集まってくるのは予想できますよね。
    里親の要資格化(保育士や児童福祉司など)は必要だと思います。

  10. たけちゃん より:

    別れた後嫁が亡くなる。その後子どもたち捜してもわからず実の父親なのに1日も早く暮らしたい。子どもも何度か捜しに来たらしい。前の家は、立ちのきになり、新しい住まい、子どもたちは知らない。兵庫県赤穂にいることが今日わかる。施設の名前が「00山」00わ、わからない。最近できた施設らしい、田んぼに建物はあるらしい。だれかしりませんか。。。、

  11. あこ より:

    でも、報酬があるからこそ、一時的にでも引き取りたいと思う人がいるのでは?

    世の中、そんな甘くない。罰せられるべきは、子供を棄てた親。
    中にはきちんと育てる人がいる。

    なぜ男の子は人気がないのだろう。うるさくて、手がかかるからか?
    乱暴だからからか?

  12. gladiolus2009 より:

    >あこさん

    ある施設出身者の方も言っておられましたが、子どもを「棄てた」という表現はどうかと思いますね。
    養育里親たちが好んで使うフレーズでもありますが
    「親に棄てられた」と言われて育つ子どもは健全な自尊心を育めないと思いますし
    子どもを育てられない親でも、わが子に愛情があり「棄てたくない」からこそ
    子どもを自分の戸籍に入れつづけて親権を手放したがらないのだと思いますよ。
    親子間でも夫婦間でも「特別な愛情」というのは「所有」を内包するモンだと思うし
    ぶっちゃけ「結婚」という制度そのものが「セックスの専売契約」だし。
    親の「私の子ども」だけを対象にして発動するエコヒイキのような感情、
    私はかつて要保護児童だった者として、そういう親の気分が子どもを慰めることを知ってます。
    里親団体も「動物の引き取り手を里親と呼ぶな」とかってくだらない言葉狩りに勤しむ暇があるなら
    ご自分らが大好きで愛用してる「育てないクセに親権を手放さない実親のせいで」とか
    「親に棄てられた」という表現や考え方こそ自粛してほしいモノですわね。
    ま、彼らにとっては「里子の心の健やかさ」なんて無関心どころか
    「里子に問題があればあるほど里親として箔がつく」ので自粛規制は永遠にありえないでしょうけど。

    男の子はあまり人気がないのは、男の子は手が掛かる傾向があるし
    中学生くらいになれば腕力で里親を上回る=里親に抵抗する力を持つからでわ?

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