7月, 2010 のアーカイブ

このブログの主旨は、里親制度の問題なので、
それ以外のテーマを取り上げるのは、控えて来ました。

私が、ネットに割ける時間と能力的に、
裾を広げ過ぎると、収拾がつかなくなる
と言う、情けない問題もあります(汗)

しかし、見過ごせない事態が起きているので、
急遽、記事にまとめます。

ある【施設育ち】と称する自称女性らが、

「児童養護施設は、虞犯少年だらけである」

と、主張しておられます。

この自称女性については、たまさんのブログ、
『はばたけ!養護施設出身者』
を、御覧戴ければと思います。

この自称女性らが、主張しているだけなら、
実害が無い限り、放っておくのですが、
困った事に、この自称女性らの流す虚偽情報を
真に受ける方が一部に居られ、
ツイッター等で、情報を拡散しておられます。

この自称女性らは、児童養護施設について、
「暴力が支配する無法地帯」のように表現し、
「施設で育った児童は、情緒障害になる」等、
非常に偏った、悪いイメージを作り上げ、

「施設は酷い所だから、里親家庭へ」
と言う主張を、巧妙に展開します。

この自称女性らが、ここまで施設を酷評し、
里親制度を推進する【目的】は、

「里親の社会的評価を守る事」

に、あると思われます。

この自称女性らが妄信する
養育里親のホームページがあります。

里親制度を推進する事が目的なら、
施設を酷評する態度は、変わらないとしても、
「子供の成長を見守る楽しみや、喜び」
「養育里親としての、やり甲斐、生き甲斐」
のような話題にも、触れると思います。

自ら希望して、好き好んで里親になったのですから。

しかし、この自称女性、もしくは里親の主張は、
里子への憎悪が滴るような苦労話ばかりで、
それを見て、誰も里親になりたいと思わないような、
悲壮な苦労ばかりを、主張しておられます。

そこに私が見た物は、
「自分の努力を認めて欲しい」
「自分の存在価値を認めて欲しい」
と言う里親自身の、悲痛な【叫び】でした。

そこに【喜び】や【生き甲斐】は、ありません。

何故なら、彼は「自分を認めて貰いたい」と言う
自分自身の激しい欲求を満たす事で、精一杯だからです。

親や周囲に【無条件に】存在価値を認められ、
受け入れられた体験のない人間は、
激しい欲求不満を抱えたまま大人になり、
その飢えを満たす事で、精一杯になります。

そう言う人間は、
子供の気持ちを、受け止める事は出来ません。
子供と向き合う余裕も、ありません。

一見、子供と向き合っているかのように
見える場合もありますが、
それは【ポーズ】にしか、過ぎません。

代理ミュンヒハウゼン症候群の母親が、
難病の【自分が病気にした】子供をケアする際に見せる
【甲斐甲斐しさ】と、病理は同じです。

彼らは、子供に薬物を飲ませる等して、
原因不明の難病に仕立て上げ、
どんな苦労も惜しまず、甲斐甲斐しくケアします。
そうする事で、「献身的な母親」と言う評価を得て、
自分の存在価値を確認します。

里親らの、不可解な言動の中に、
代理ミュンヒハウゼン症候群と母親と
同じ病理を、見い出す事が出来ます。

両者に共通している事は、
子供の幸福を望んでいない、と言う事です。

自分の飢えを慰める為に、子供に依存し、
自分を認めて貰う為に、子供を利用します。

この里親もしくは自称女性らは、
子供の幸福の為に、里親制度を推進しているのでは、
ありません。

彼らの目的は、
「里親を良く思って貰う事」であり、
「自分の存在価値を認めて貰う事」です。

この点が、他の無邪気な
【里親制度を、推進する人々】
と、大きく異なります。

世間に、里親を良く思って貰う為、
自分を認めて貰う為の【手段】として、
「里親制度を推進」しているのです。

その点を理解すれば、彼らの不可解な言動の多くが、
ストンと腑に落ちるのでは、ないでしょうか。

里親制度が内包する危険性を指摘する意見には、
「証拠を出せ」
と、激しく攻撃するのに、
自分らは、里親の評価を上げる為に、
一方的な自己申告【証拠のない情報】や、
「児童養護施設は、虞犯少年だらけ」等、
明らかな虚偽情報を、平気で垂れ流す。

実親と施設で起きた虐待は、
「いかなる事情があっても、絶対に許されない事」
として、激しく糾弾しながら、
里親から里子への虐待事件が報道されると、
「里子は問題が多いから、仕方ない」
「頑張った結果が逮捕で、悲しい」
「里親も被害者」等、虐待里親を擁護する。

「里親名称に傷付く里子が1人でもいる限り、
この活動を止めない」と息巻きながら、
その活動のせいで傷付いた里子には、
容赦ない攻撃を加え、傷に塩を塗り込む。

彼らの、一見すると辻褄の合わない、
【二重基準】や【矛盾】は、
彼らの「自分を認めて貰いたい欲求」が
原動力となっている事を理解すれば、
全てストンと、腑に落ちます。

これは、機能不全家族で育った者や、
虐待を受けて育った者に、
多く見られる特徴です。

里親の中には、恵まれない子供時代を過ごし、
心に傷を負っている者が、多いと聞きます。

私も、その危険性を、持っています。
だから私は、結婚も子供も、望みません。
里親になるつもりも、ありません。

「里親の苦労も知らず、批判するな」
「批判するなら、自分でやってみればいい」

そう言われる事もありますが、
私は、自分の抱える危険性を認識しているので、
児童福祉分野には、近付かない事にしています。

私のような、恵まれない子供時代を過ごした者、
自分の存在価値を【無条件に】認められずに育った者にとって、
児童福祉分野に貢献する事や、
里親になって、里子を育てる事は、
甘味な誘惑であるのも、また事実です。

しかし、自分の存在価値を確認する為の道具として、
無力な子供を利用する事は、決してあってはならないと、
肝に銘じています。




さて、この自称女性らの主張する、
「児童養護施設は、虞犯少年だらけ」とするお話が、
全くの虚偽情報である事は、明確な事実です。

彼らが本当に、児童養護施設に居た事があるなら、
誰よりも、良く分かっている筈だと思います。

私も、児童養護施設で暮らした経験があるので、
他の施設出身者の、ブログや体験談を拝見すると、
「あるある!」「わかる!」と思う部分が、あります。

その経験をした事がない人々は、欺けても、
同類の目は誤魔化せない、と言いましょうか。

それが、施設に【良い思い出】のある人でも、
反対に、【悪い思い出】しかない人でも。

たとえ、私の居た施設と違う部分があっても、
「私の居た施設は、こうだったけど、
この人の居た施設は、そうだったんだな」
と、素直に思える物があります。

施設のある地域や、経営母体が異なっても、
施設出身者の言葉は、「わかる」のです。

例えば、日本で中学時代を経験した日本人なら、
他の人が書いた中学時代の体験談を読めば、
学校のある地域や校風、校則は異なっても、
書き手の言葉が、「わかる」と思います。

しかし、カザフスタンや北朝鮮の人が、
「ネットや本で調べた情報を基に、
日本人になりきって書いた」
想像上の体験談だとしたら、どうでしょう?

読み手が外国人なら、誤魔化せるかも知れませんが、
日本で中学時代を過ごした日本人なら、
腑に落ちない物を、感じるのではないでしょうか。

ハリウッド映画の中で、中国系アメリカンが演じる
ステレオタイプの【日本人】を見るような、
違和感を覚えるのでは、ないでしょうか。

その【施設育ち】を称する自称女性のブログは、
【ハリウッド映画の中の日本人】
のように見えて、なりませんでした。

他の施設出身者の書いたブログのように、
「私の居た施設と違うけど、わかる!」部分がなく、
頭の中がクエスチョンマーク「?」だらけになりました。

「児童養護施設は、虞犯少年だらけ」
と言う主張は、真っ赤な嘘です。

「私が、違和感を覚える」
と言うレベルのお話ではなく、
調べれば分かる、明らかな虚偽情報です。

児童養護施設は、その名の通り、
何らかの事情で、家庭で育てられない児童に、
社会的養護を提供する施設です。

虞犯少年も、児童福祉法が定める定義では、
保護されるべき児童である事は、間違いありません。
彼らの家庭環境が、好ましくないと判断されれば、
国は、社会的養護を提供しなければなりません。

「保護されるべき児童に、社会的養護を提供する」
その言葉を、額面通りに解釈すれば、
児童養護施設に、虞犯少年を収容する事は、
不可能ではないかも知れませんが、
虞犯事由で、施設措置となった場合、
自立支援施設に送られます。

児童養護施設で、問題を起こした児童も、
自立支援施設に措置されます。

そのブログを書かれている自称女性は、
御自身が居られたと言う施設を、
「プロテスタント系」で、「大舎制」で、
「男子も居た」と、書かれています。

それらの条件を満たす施設は、かなり限定されます。

そして、施設への収容事由は、記録に残されます。

大舎制で、プロテスタント系で、男女収容。
その条件を満たす児童養護施設に、
虞犯理由で収容された児童が、何人いるかを調べれば、
「児童養護施設は、虞犯少年だらけだった」
と言う主張の真偽は、一発で明らかになります。

もし、この自称女性の書かれている事が、本当だとすれば、
外国のお話なのでは、ないでしょうか。




追記
自立支援施設も、「虞犯少年ばかり」ではありません。
そこは、何らかの事情を背負い、
従来の環境の中では「自立が難しい」と判断された児童に、
指導的養育を提供し、【自立を支援する機関】です。

当然、虞犯以外の理由で、収容される児童も居ます。

里子が親元に帰れず、住む場所もないのを知りながら、
措置終了し、お金が支給されなくなると同時に、
里子を着の身着のまま、追い出す里親が居ます。
たった15歳で追い出され、ホームレスになった里子が、
保護され、自立支援施設に収容された事例もあります。

この問題は、たまさんのブログ、
『はばたけ!養護施設出身者』
で取り上げておられるので、
そちらと併せて読んで戴ければと思います。

現在、里子として育った者が、
里親の家を出て、自立する時に直面する問題として、
身許保証人になってくれる者がいない、
と言う事があります。

就職する時も、アパートを借りる時も、
ほとんどの場合、保証人が必要になりますが、
実親を頼れない里子は、保証人がいません。

保証人の必要のない職場もありますが、
その手の職場は、労働環境が劣悪、賃金が低い等、
あまり良い条件ではない所が多いようです。
また、入社時に取り決めた賃金を支払わない、
同じ仕事をしているのに、他の従業員より給料が安い、
過重なサービス残業を科す等、
雇用主が、【後ろ盾がない者】の足元を見て、
不当な扱いをする場合もあるようです。

児童養護施設出身者の場合、
施設を出て最初の就職・アパート契約に限っては、
施設長が、保証人になってくれるようですが、
最初の職場を辞めて再就職する時や、引っ越す時に、
やはり、「保証人がいない問題」が立ちはだかります。

この問題を解決する為に、
たまさんが、いくつか提案をしておられます。
それを基に、私なりに考えてみました。

①里子の場合は里親、施設児童の場合は施設長が、
 原則的に保証人になる。
 ※但し、就職とアパート契約の保証人に限定する。

②里親に委託する際、里子の保証人になる事を条件とし、
 これに違反した場合、里親手当を遡って返還させる等の
 ペナルティを設ける。
 ※但し、保証人になりたくない為、措置終了直前に
 里子を返品する等、悪質な手段の横行が予想される為、
 里子を1年以上預かった場合は、保証人義務が生じる等、
 「保証人になるつもりのない里親」を排除する対策が必要。

③施設や里親宅で虐待等があり、里親や施設長に
 自分の所在を知られたくない等の事情がある場合は、
 管轄の児童相談所の所長か、
 同じ地域にある別の施設の長の中から、
 保証人を選べる。

④児童相談所所長や施設長が保証人になる場合は、
 施設児童や里子のプライバシーを保護する為、
 個人名で縁故者として保証人になる。

⑤里親・施設長・児童相談所所長の保証人委託の件数を毎年調査し、
 本来、保証人になる義務がある里子や施設児童に
 「保証人に選ばれなかった里親・施設長」をピックアップして、
 情報を開示する。

以上、私なりの考えをまとめてみました。
里親や里親団体には何も期待していませんが、
保証人問題は、里親自身に改善する意思がなくても、
行政が制度として義務付ければ良い事です。

これまで散々、里親達は世間に向けて
「里子にあれをしてやりました、これもしてやりました、
保証人にもなってやりました」と言って来たのですから、
里親サイドの言っている事が本当なら、
今まで普通にしてきた事が、制度化されるだけなので、
何一つ不都合はないと思います。

もし、保証人になる事を義務付けた事で、里親が減るなら、
それはそれで構わないと思います。

里親サイドが、よく使用する常套句に、
以下のようなフレーズがあります。

「里親は、里子を実子同然に愛情を注いで育てる為、
措置終了時に、実親子同然の関係になっている。
里親は、措置終了後も、里子の保証人になる等、
実親子と変わらない【親子関係】が継続する」

これは、本当なのでしょうか?

上の主張は、里親サイドの一方的な自己申告による物で、
実際に、里子の保証人になっている里親が何%いるのか、
調査が行われた事は一度もありません。

養育里親は、児童養護施設と同様、
【期間限定の一時預かり制度】です。
当然、里親は、措置終了後の里子の人生に責任はなく、
里子の保証人になる義務もありません。

子供が自立して親元を離れる時、保証人が必要になりますが、
ほとんどの里子は、実親がいれば実親を頼るか、
実親に頼れない里子は、保証人のいない人生を
たった一人で生きて行く事になります。

児童養護施設の場合、児童が卒園して自立する時、
施設長が一度だけ、保証人になってくれるようですが、
里子の場合、そのような制度はありません。
15歳か18歳の未成年者が、保証人がいない状態で、
一人で社会に出て行かなければなりません。

まともな会社は、就職する時、身許保証人が必要です。
条件の良いアパートは、ほぼ必ず保証人が必要です。
保証人が要らないアパートも、あるようですが、
環境が悪い、家賃が割高、高額の保証金を請求される等、
不利な条件を飲まされる場合が多いようです。
生きて行く上で、保証人がいない事が、
どれほど大きな障害になるか、想像に難くありません。

措置終了した里子で、実親に頼れない者の中には、
生きて行く為に、裏社会に入ってしまう者がいます。
女性の場合、違法な風俗産業に従事する者がいます。
身許保証人のいない未成年者が、
【生きる糧】と【寝る場所】を得るには、
そうせざるを得ない現実があります。

この様な事を書くと、里親サイドから、
「証拠を出せ」「デタラメを書くな」等、
攻撃的なコメントを戴きます。

しかし、里親サイドが主張している
「多くの里親が、里子の保証人になっている」
と言う話も、まったく証拠はありません。
措置終了後の里子の追跡調査を行えば、
すべて明らかになるでしょうが、
里親サイドは、追跡調査に反対しています。

さて、里親団体は、
全ての里子に未成年後見人を付けるよう
国に要求しています。

この要求をしている里親のブログを、拝見した事があります。
この里親は、ネット上で積極的に発信している事から、
周囲から【良質な里親】だと評価されており、
御自身も同様に自負されている事と思います。

この里親に措置された里子さんは、既に自立していますが、
未成年で【後見人】がいない為に、
現在、危険な環境に身を置いているようです。

この里親は、里子さんが自立する時、
公的機関に「未成年後見人を付けてくれ」と
要求したそうですが、断られたそうで、
里親制度の【不備】を批判しておられました。
そして、自立した里子の未成年後見人の制度化要求を
主張しておられました。

一見すると、大変ご尤もな意見に見えます。
しかし、よく考えて下さい。

里親サイドが世間にアピールしているように、
「里親と里子は、実親子同然の関係が出来ており、
多くの里親が、自立した里子の保証人になっている」
という話が事実だとすれば、
自立した里子に、未成年後見人が必要でしょうか?

里子に保証人がいない=里親は保証人にならない、
その前提があってこその、
未成年後見人の制度化要求なのではないでしょうか?

「うちの子が自立する時、私は保証人になりませんでした。
役所に電話して、後見人を付けてくれと頼んだら、
そんな制度はないと断られました。
制度の不備のせいで、うちの子は今、
危険な環境に身を置いているようです。
それを知っても私は、うちの子の保証人になるつもりはなく、
身銭を切ってまで、あの子を助けるつもりはありません。
私は座視していますので、国で何とかして下さい。」

もし、実の親が、このような主張をした場合、
世間に通用する物なのでしょうか?

ネット上で積極的に発言し、里親ブログを運営し、
里親業界で広く認められている【良質な里親】でさえ、
里子への意識は「この程度」であるのが現実です。

(仮に、この里親を始めとする大多数の里親が、
「この程度」の関係を「実親子同然」だと思っているとすれば、
非常に重大な問題であり、里親認定を取り消すべきです。)

里親制度は、児童養護施設の延長線上の制度です。
里親は、里子の親でもなければ家族でもありません。

親に恵まれない低年齢の子供は、
特別養子縁組で家庭に迎えられる事を、切に願います。