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平成14年、宇都宮で、
里親が里子を虐待して死亡させた事件があったの。

私がこの事件を知ったのは、すべて終わったあとだったの。
里親団体が「被告の里親のために」募金活動をしてたことも同時に知って
キツネにつままれたような複雑な気持ちになったのは、よく覚えてるわ。

はじめは被害者の里子さん側が民事訴訟を起こし
その費用を募ってるのかと思ったの。
でもよく読むと募金活動で集めたのは「里親側の弁護士費用」とわかり
憤りをこえて、ひたすら唖然としたのはハッキリ記憶にあるわ。

最近ネット上でどこかの里親らしき人が
「里親がカンパを募ったのは里子側の弁護士費用だった」とか言ってるのを見て
またしてもキツネにつままれたような気持ちになったの。

これって刑事事件の裁判だから、里子側は「検察」でないの?
里子側の弁護士って、どういうこと?

でも次の瞬間、「べつの団体が里子側を支援してくれたのかも?」
「民事で里親を訴えて、その費用を募金で集めてくれたのかも?」って
ちょっと期待してしまった私がいたの。
里親連中には幾度となく煮え湯を飲まされてるのに、私も甘いわね。

さっそくググってみたら
里親団体の「宇都宮事件の裁判経費のカンパを募る」ページがヒットしたわ。

前に見たのと同じ団体のサイトであるのはまちがいないけど・・・
・・・こんな内容だったかしら?

以前に読んだ文章を正確に覚えてるワケではないけど
内容が書きかえられてないかしら?

その里親団体の「宇都宮事件」のページは、要点の定まらない、というか、
「わざと要点を左右して、読み手を惑わすような文章」が書いてあるの。
ざっと読んだだけでは何が言いたいのかサッパリわからなかったわ。

またまたキツネにつままれたような気持ちになったけど
気をとりなおしてよーく読むと、まあ、たしかに以前と「主張する内容」はおなじね。
要約すると、こういうことよ。

『里子を虐待して殺した里親に懲役4年の実刑判決が下されたけど
被告はその判決を不服として、控訴しました。
里子は問題児なので、里親は大変な苦労をしてます。
(以下、長々と「里子は問題児」節が炸裂。)
裁判所は、問題児を育てる里親の大変な苦労を理解して
もっと軽い判決、執行猶予つきの判決を出すべきです。
控訴審の裁判費用のカンパをお願いします。』

・・・・・・・。

亡くなった里子の遺族が民事訴訟を起こしたワケでもなければ
その弁護士費用をカンパで募ったワケでもないの。
里親団体が募ってたのは、里親側の控訴審の費用なの。

里親団体もセコイわね。
正直に「里親側に懲役4年の有罪判決が下されました。
被告はその判決に納得せずに控訴しました。
われわれも懲役4年は重すぎると思います。
今後のためにも、実刑判決の先例を残してはなりません。
執行猶予つきの判決が出るよう被告を支援します。
控訴審の弁護士費用をカンパしてください」と書けばいいのに。

その辺のところをハッキリ書かず
いつもの「里子は問題児だから、里親は大変な苦労してる」節でウヤムヤにして
裁判所が理解した上での判決でなかったら「里子も浮かばれない」と詭弁を駆使、
ヒトを煙にまくような文章を長々と展開するモンだから
なんのためにカンパを募ってるのか、あやうく見誤るところだったわ。

私的には「里子を虐待死させた殺人犯」に下された判決が「懲役4年」では
「里親という圧倒的強者」に「一方的に虐待されて殺された子ども」は
「浮かばれない」と思うの。
でも里親に言わせてみれば、罪が執行猶予レベルに軽くならないと
殺された里子が「浮かばれない」そうよ。

この文章を書いた里親に実子はいるのかしら?

幼い実子が「圧倒的強者」に一方的に殴り殺されて
その犯人に執行猶予つきの判決が下されたら
殺された子どもが「浮かばれる」と思うのかしら?

本気でそう思うような人が業界団体の役員として大手を振ってるとしたら
里親業界に自浄能力は期待できないわね。

里親制度の「里子に口なし」体質は今に始まったことでないし
里親の社会的評価とやらを守るのは勝手だけど
そのために「里親に殺された子ども」まで利用しないでほしいわ。
「圧倒的強者である里親」に幼い命をさんざん利用されて殺されて
死んだあとまで都合よく利用されて、この子ホントに浮かばれないじゃない。
私が泣いてもなにも変わらないけど、目から汁がでちゃったわ。

無力な子どもを虐待して殺してたった4年の懲役なんて
「子どもの命をなんだと思ってるの?」と裁判官に問い詰めたくなるくらい
里親側に下された判決は「軽い」と思うけど。

里親の十八番「里子は問題児だから、里親は大変な苦労をしてる」節が
裁判所にじゅうぶん「理解」された上での判決に思うけど。

それでも里親側は判決を不服として控訴したの。
里親側の価値観では「里子を殺した罪の重さ」は「懲役4年」よりも軽いらしいわ。
ずいぶん軽く見られたものね。

ちなみに私も里子時代、亡くなった里子さんと同じように
命の重さが「懲役4年より軽い」問題児といわれたわ。

里親に怯えてワガママいわず言いなりになり
夏は灼熱地獄の工場で働かされても文句ひとついわず
自分のことは自分でやり、里親の手を煩わせなくても
里親は私たち里子を「問題児」に仕立てあげてくれたの。

「反抗的」だの「言うことを聞かない」だの「お金を盗む」だの
「注意すると暴れる」だのと身に覚えのない問題行動を捏造され
里親はせっせと「里親は大変なんです」と言って歩いてたの。
里子のありもしない問題行動をデッチあげて
「里子は悪くありません。環境が(実親が・施設が)悪いんです」とかナントカ
いかにも里親が言いそうなことを言って得意になってたわ。

「里子を工場で危険労働に従事させてます。
学校が休みの日は朝から晩まで働かせてます。
仕事を怠けたらブン殴って食事をあたえません。
おかげでグチのひとつもいわず働いてくれます。
手の掛からない勤勉な良い子で助かってます」なんて
口が裂けても言わなかったわ。

里親が里子を「問題児」にしたがるのは
虐待が発覚したときに備えての「保険」なのね。
そうしておけば里子を殴り殺しても執行猶予つきの判決でけりがつくし
里親団体が弁護士費用もカンパで出してくれるしね。